

通訳・翻訳家と言語サポートアシスタント業を一緒だと考える方が多いが、果たして同じなのか。中南米の日系企業では「通訳・翻訳家を募集する」という求人広告を出す一方で、広告内容を拝見すると実際に求められているレベルは日本語能力試験のN3やN2レベル、つまり中級レベルであることが多い。日本語を外国語として学んでいて、その言語能力が中級レベルである方が果たして通訳・翻訳家として務めることができるのか。この記事では通訳・翻訳家と言語サポートを行うアシスタント業の違いについて説明したい。
通訳・翻訳家の仕事
通訳の仕事は双方の発言内容を理解し、忠実に訳すことだ。その中で、文法的な知識はもちろん、文化的背景も理解しなければならない。翻訳家も同じで、文章と向き合う際には、同様の知識・能力が求められる。現役通訳・翻訳家は実際に受ける依頼内容を選ぶことはできても、基本的には全面的に対応する必要があるのが現実だ。外交、政治、科学技術、文学、貿易、広報など様々な分野に対応できるだけの文法知識が必要である。専門用語はその都度学ぶことはできるが、文法的な知識、つまり文章の構成に関連する知識はもっていなければならない。
また、両文化を理解しないと通訳・翻訳ミスをすることもある。よって、言語さえできればいいという概念はプロの通訳・翻訳家には通用しない。言語の知識だけでは不十分なのである。更に、通訳を求めるクライアントに対して、現地でのサポートをすることもあるため、ある程度サービス業(観光業)も理解しているのが望ましい。コミュニケーション能力が高く、適切な言葉を選べる能力も必要であり、貴重な時間を無駄にしないためにも、迅速かつ丁寧に、適切に訳すことが必須条件となる。
上記が大まかな通訳・翻訳家の役割、業務内容になるが、この情報をもとに改めて問いたい。日本語を外国語として学び、中級レベルである人が「通訳・翻訳家」を名乗ることができるのか。
自称通訳の問題点
スペイン語圏の国でスペイン語⇔日本語の通訳・翻訳家の資格または学位を取得できる教育機関はないため、基本的には皆、自称通訳となってしまう。しかし、ネイティブバイリンガルが通訳として名乗り仕事をするのと、片方の言語が母語である人が通訳として名乗り仕事をするのとでは状況が違う。何故なら、ネイティブバイリンガルは両言語が母語であり、言葉の壁がないからである。また、片方が母語で、もう片方が習得した言語の場合、上級レベルかネイティブレベルであるかによっても状況が違う。片方が母語でも習得した言語が上級、またはネイティブレベルであれば言語知識は十分だからである。
しかし、中級レベルとなるとどうだろうか。文法ミスはもちろんのこと、話の意図や文化的背景のミスリーディングなどが生じ、コミュニケーショントラブルを起こしかねない。更に、プロの通訳、または能力が十分な通訳に比べて安い賃金で仕事をするため、本来の通訳業におけるサービス料の減額が市場内で発生する。そして何よりも、自分が本当に通訳であると思い込み、全うできない業務を担い、最終的にクライアントに迷惑をかけることが多い。「言語ができれば誰でも通訳ができる」と思われがちな業界であるがゆえに、このような自称通訳はプロからしたら、迷惑極まりない。
言語サポートアシスタントとは
では、言語サポートアシスタント(スペイン語ではAsistente de enlace)とは何か。ある程度の言語知識が求められ、通訳・翻訳能力への期待はしないまでも、上司や周りの人達で言語の壁によりコミュニケーションが取れない人達のサポートをする職業を指す。言語知識だけではなく、オフィスワークができるような事務仕事の基礎知識も求められる。通訳ではないため、賃金はもちろん、アシスタントというポジションに相応しい額となる。職名をはっきりと分けることによって、市場での不公平な通訳業務における料金の価格低下を防ぎ、更に、フェアな採用をすることによって従業員も成長することができる。
本当に通訳・翻訳家が必要な場合は、プロに依頼することをお勧めする。プロはそれだけ現場での経験をし、必要な知識やノウハウを培っている。双方が理解し合えるように最善を尽くし、何よりも訳すこと自体が本業であるため私情を挟まない。公平で中立的な立場からの言語協力者になるため、ビジネス交渉では従業員を使うより便利なときもある。
その他の言語サポートはアシスタントにお願いすることによって、通訳・翻訳費用を抑えることができる。確かに外部のプロに依頼するというのはそれだけ金銭的な負担が発生するということだ。中には、プロに依頼しなくてもいい文章の訳や、プロの通訳がいなくてもいい現場もあるだろう。言語サポートアシスタントをうまく活用することで、出費を抑えることができる。どこでバランスを取るのかを決めるのはもちろんクライアント本人だ。しかし、この記事で述べた選択肢があることを視野に入れることで、少しでもその決断の手助けになれたらと思う。
では、言語サポートアシスタントを採用するとして、どのような壁が生じるのか。事務仕事をするにあたって、秘書に求められる知識もある程度必要であろう。日本の秘書検定、スペイン語圏で秘書という資格を修得するには何が必要なのか、次回の記事で紹介しよう。
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